日本の建築空間の本質
建築家の間で有名な谷崎潤一郎という方がいるのですが、彼は「日本の建築空間の本質を闇」と捉えた人であり、日本特有の美意識を伝えようとした人物でもあるのですが、この言葉は、私だけではなく、本当に多くの建築家に大きな景況を与え、その言葉を好んで引用したものです。
谷崎さんが書きあげた小論があるのですが、私は友人に勧められて手にし、日本の伝統に付いて理解を深める機会を得る事が出来たわけですが、日本建築文化として、これ以上のものは今もないだろうと思ってしまうほど、素晴らしい本なのです。
人によっては解釈が違ってきますので、感じ方も違うと思いますが、私の場合「闇」と表現されている言葉には、日常の生活の中で、必然と存在知る空間だと思っているのですが、日本の建築空間の特徴は自然体である事なので、安らぎを与える必要があります。
その一方で建築には光というものが存在し、その光をどのように使うかによって建築は大きく変わるので、私が建築家として仕事をしていく限り、この闇と光との間で自問自答を繰り返し、考え続けて行くのだと思います。
時に、自分が建築に対して、どう考えているか分からなくなってしまう事もあり、建築と言う迷路に迷い込んでしまう事も少なくありません。
建築で何が出来るのか
私は19歳から建築を始めたので、業界に入ってから、かれこれ30年が過ぎようとしているのですが、「今でも建築とは何なのか、建築で出来る事は何なのか」と、問い続けてきましたが、未だにその答えが見つかっていませんし、今後も見つからないかもしれません。
建築を通して私が出来る事と言えば、1つの作品に対して、いま自分が持っている力を思う存分発揮することでして、目の前の仕事を完成させていくぐらいなのです。
決して天才では有りませんので、世の中をひっくり返してしまうような作品が作れるとは思いませんが、諦めてしまっては、その時点で建築家を辞めた方が良いので、最後の最後まで最善を尽くして、建築の能力を研ぎ澄ましていくことが、人生を通した仕事だと思っています。
それにしても30年間に渡って、本当に建築をしているとは思っていませんでしたし、これだけ長く仕事を続けられるものだと、自分に感心してしまうのですが、昔の自分と比較してみると、本質は変わっていないのですが、やはり建築という分野の見方が変わっています。
もちろん視野は広がっていると思いますが、世界的に見た日本の建築を改善したいと考えており、新たなプロジェクトを発足させようと企んでいるところです。